INTERVIEW
ゲスト:小野 緑(ライター)
対談シリーズの第5回は、30周年を目前に控え、出会いやチャレンジにより積極的な杏里に、ファンクラブ会報で毎回インタビューをしている、ライターの小野緑がじっくりと話を聞きました。自分のこれからのことだけではなく、自分を取り巻く社会の状況や、それらがはらむ問題をしっかりと見つめている姿勢に、とても共感するものがあります。
よりどりみどり
ライフスタイルブランド『beluga』でコンセプトプランナー、ライフスタイルアドバイザーとして活躍する小野緑さんの、ニッチでレアな生活エピソード集
第5回 『 人と出会い、自分を知る 』
小野今年は、初めてのカバーアルバムにチャレンジしたり、充実した1年でしたね。
杏里そうですね。やはり全曲カバーのアルバムというのは、30年やってきた今だからこそ作れた気がしますね。中途半端な時期だったら、たぶんOKできなかったと思います。
小野やはり、人の曲を歌うというのは、勇気がいるものなのかしら?
杏里そうですねえ……勇気というより、30年やってきた自分だから、自然にできたという方が正しいかな。いろいろ経験してきたから、今は何も恐れるものがない。 本当にピュアに原点、初心に戻ったような感じです。また、すごく勉強にもなりました。全部知っている曲ではあったんですが、ちゃんと歌ってみると、あら?ここはこんな譜割りだったんだ!とか、いろいろな発見があって。でも、どれも曲自体の素晴らしさを感じて、逆に、何で今までこの曲を歌わなかったのかしら……?なんて思いましたね。結構やってみると、クセになるなあって(笑)。曲作りは本当に好きだし、オリジナルアルバムだったら、いつでもできるんですね。もちろん、作っているときはとても大変で、苦しんだりもするんですが、出来上がったときのやり遂げたという達成感だったり、その時の幸せ感がとても好きだったりするんですが、今回のカバーを敢えてやることで、一呼吸おくと共に、シンガーとしての自分を再認識できました。
小野私は、カバーというよりも、まるで杏里さんのオリジナルのような気持ちで聞いています。それだけ、杏里さんが歌を自分のものにしているからじゃないかしら。これを、もっとライブで聞きたかったんだけど……それがちょっと残念かな(笑)。
杏里ホント、ライブはもっともっと活発にやっていきたいなと思っています。でも、ただやればいいというのではなく、やるタイミングだとか、構成なんかはきっちりとやりたいので……。バンドのメンバーが、ちゃんと揃うことも大切だと思っています。例えば、いつものメンバーが一人欠けてしまうけれど、一人だったら代 役を入れればいいか……というと、違うんですね。やっぱり、バンドは一つのチームなので、一人抜けても違うというこだわりは無くしたくないんです。そういう環境を整えた上で、どんどんライブをやっていけるように、これからも頑張っていきたいと思いますね。11月にデビュー30周年に突入し、そういう意味でも、何かスペシャルなことをやろうと考えていますので、楽しみにしていてください。ちょうど今、構想を練っているところなんで、もう少し待ってくださいね。
小野ファンクラブのイベントを久しぶりにやって、ファンの方達が変わらずに応援してくださる姿にも、とっても感動した年でもありました。
杏里本当にそう思います。この間、甥の子供の幼稚園の運動会に行ったんですが、たまたま私のファンクラブに入っていた御夫婦がいらっしゃって、声をかけてくださったんですね。で、子育てでしばらくファンクラブから離れていたけれど、また入ります!って、またファンクラブに戻って来てくださって。世代的に、子育てが一段落して少し余裕が出来てきた事もあって、ご夫婦だったり親子だったり、ファミリーでファンクラブに入ってくださる方が多いんです。そういうのも本当に嬉しいですね。
小野でも、幼稚園の運動会に行ってしまう杏里さんというのも素敵ですね(笑)。
杏里そう言えばそうですね(笑)。最近、子供たちといろいろ話をしたり、触れあったりするのが楽しくて。だから、子供達がこれから育っていく環境のことが、ものすごく気になるんです。教育の問題とか、地球の環境とか、子供を取り巻く周りのことが、気になってしょうがない。産婦人科のお医者様も減っているそうですし。私には子供はいませんが、甥や姪、友達の子供と、周りにたくさんキッズ達がいるでしょ? 彼らは、正にこれからの時代を作っていくキッズたちですよ ね。子供の将来や、親子の関係のことは、今後の日本の社会にとって、とっても重要な問題だと思いますね。
小野そうですね。でも、現状は、いじめの問題だとか、親子間の断絶、環境破壊など、あまり明るい話がない。杏里さんが今年、発起人として参加された『EARTH PROJECT』は、正にそういう地球環境や、未来を担う子供、その子供を育てる親……そういう命のマナーを考えようというテーマを掲げていますよね。そういうことって、本当に日々の生活の中で、みんなが意識していかなければならないことじゃないかと思います。
杏里そうなんです。だから、私は私なりのスタンスで、音楽や言葉を通して、何かできたらいいなあと思っているんですよ。今回、WEBでこういうお話しをしたいなと思ったのも、それがあったからなんです。私のライブは、最近親子で見に来てくださる方がたくさんいらっしゃるんですけど、それで親子のコミュニケーションが充実して、子供が夢や希望をもってくれるようなライブをできたらなあって。同じ趣味を持つことで、会話が生まれますからね。音楽を通して、親子の会話が生まれて、それによって、お互いがリスペクトし合えたら、親子の断絶なんかもなくなるのではないかと思いますね。学校やお金の問題じゃないんですね。コミュニケーションの問題。今、親が忙しくてなかなか子供とコミュニケーションが取れないでしょう? それで、気がつかない内に、子供が反抗期に入っていて、もう溝ができてしまうとか。そういう親子の溝を埋めるのに、音楽はとっても役に立つと思っています。私にできるのはこれだ!って。
小野音楽は仲間も作ってくれるし、環境も育ててくれる。そういう意味では、心のビタミンみたいなものですからね?その処方箋を、名医である杏里さんが作ってくれる……という感じかしら?(笑)
杏里最近、ハワイに行ってきたんですよ。仕事と、ちょっとお休みも兼ねて。そしたら、何だか知らない内に、日本やロスから友達がいっぱい集まって来て、十数年振りに、ハワイの友達とも会ったりして……。で、久し振りに昔話に花が咲いたんだけど、みんなそれぞれ悩みを抱えているのね。特に、親子のコミュニケーションがうまくいかないことに悩んでいる子が多くて……。
小野日本だけではなくて、世界的に同じ問題を抱えているんですね?
杏里そうなんですよ。ハワイの友達が子供と一緒にいるのを見ても、本当に会話が不自然なんですね。彼女の表情も、とっても暗くて……。で、私は彼女の悩みや話をまず聞く事に集中してあげたんです。そうすると、それだけで、彼女がだんだんホッとした表情に変わっていくのがわかりました。そこで次は、彼女の子供達と、毎朝一緒に朝食を食べながら、ママのお話しをしてあげたんです。ママが若い頃どんなに素敵で、どんな女性だったか。彼女の素敵なところ、エピソードをたくさん子供達に話してあげたんです。そしたら、子供たちがとっても喜んだのね。それから、ギクシャクしていた親子の関係がだんだん上手くいくようになって行く過程を見る事ができたのと、毎日みるみる輝いていく彼女を見れた事がとても嬉しかったです。何十年かぶりにWHAT'S UP SISTERSが各国から集まって、私は仕事で行っていたんですが、皆お互い、いい意味で更にポジティブになってそれぞれの場所に帰っていったんですよ。 もう一つ思うのは、子供は子供の悩みをどう抱えているか、それをどの角度で私たちが気づいてあげられるのか、それは大人もそうだと思うのですが、自分自身の友達や仲間の関係だったり、家族の間でも長く良い関係でいられる大事な秘訣だと思っています。
小野親子だから、お互いに思いはあるのに、そのきっかけがつかめなくて、ズレが生じてしまうんですね。それを杏里さんが会話でつなげてあげたわけですね。
杏里そうなんです。ほんのちょっとしたことなんですよね。帰り際に彼女が言っていたんです。“素敵な船旅をして帰ってきた気分だわ”って。日本に帰ってからも電話をまめにしているんだけど、最近は子供達をHugして、“アイ・ラブ・ユー!”って、ホッペにキスするようにしているって。子供達は、最初は嫌がって“ママ、どうしたの?”って言っていたんだけど、“これが私の自然な気持ちなのよ”って。そしたら、数日後から、子供達の方からHugしてくるようになったって、本当に明るい声で話してくれました。
小野そういう意味では、友達って大切ですね。
杏里そうですね。太平洋の真ん中の、40代の仲間のセラピーツアーになってしまいましたけど……(笑)。でも、こういうことって、皆さんの日常にもよくあることなので、こういう話が少しでも皆さんの励みになったらいいなあと思いますね。
小野そういえば、杏里さん自身にも、嬉しいことがあったとか?
杏里あ、そうそう!たしかに今までもたくさんの素敵な出会いや再会があって、最近では雨上がり決死隊の宮迫さんや、テニスプレイヤーの伊達公子さんなどもいらっしゃいましたが、実は以前からニュースキャスターの安藤優子さんの大ファンなんですね。安藤さんの本も買って、あんまり面白いので、何かのついでに読むのはいやで、時間があるときにじっくり読みたいと思っているので、まだ1/3ぐらいしか読んでいないというぐらいこだわっていて。その安藤さんと、この間、女性誌で対談をさせていただいたんですよ。最高に嬉しい出会いでした。同世代なんで、話も盛り上がって、とっても楽しい対談でした。たぶん、性格もよく似ているんです。昔の話なんかをすると、似たような経験をしていて。めちゃくちゃいい出会いでした。最近でいちばんうれしいことかな。
小野最近の杏里さんは、出会いの幅もとっても広がりましたね。同じ世界だけではなく、坂田教授や染織家の方、ニュースキャスター……杏里さんの興味の幅が広がった証拠だと思います。
杏里そうですね。音楽とはまた違ったジャンルの方々との出会いは、とても新鮮だし、勉強になります。で、そのおかげで、今までできなかったことが、実現できるようにもなるし。いろいろな分野で活躍されている方たちと出会うのは、すごく大事ですよね。
小野それは、杏里さんが、音楽という自分の核をしっかりと持って、30年やり続けてきたからこその出会いなのではないかと思いますよ。みんなやっていることは違っても、それと真剣に向き合って来た者同士は、やはり、通じるものがあるんですね。お互いにリスペクトし合えるというか……。
杏里そうかもしれませんね。ずっとやり続けていくというのは、ただ長くやれはいいのではなくて、どれだけ自分を客観的に見つめながら進めるかということだと思います。楽な道だけを歩く方法もあるんだけど、それでは本当の心の満足感は得られない。辛いことを乗り越えて、外に出ていろいろな人と出会い、そういう人の言葉から自分の悪い部分に気づかされたり、視野を広げたり、学んだり。自分が今、どういうところにいるかということは、そういうところから発見することですからね。誰も、正しい道なんか教えてくれない。それは、自分自身で気づいて修正しながら進んでいかなければならないものだと思います。いろいろな経験をして学んでこそ、自分のベースを支えて行ける。自分を知るために、人と出会っている……最近、本当にそんな気がします。
小野そういう意味では、来年はとってもいい30周年を迎えることができそうですね。
杏里いえいえ、まだまだいっぱい課題はあるし、これからだと思います。学ぶことはたくさんあるし……だから面白いんですけどね。
小野それと、先程の子供の問題も含めて、30年やってきたことで、それを今度、どう社会に還元していこうかということを、真っ直ぐに考えている杏里さんの姿勢が素敵だと思います。私はマドンナが大好きなんだけど、マドンナも、いろいろスキャンダルなこともあったけれど、自分が得たものを、社会にどう貢献できるかを、とても真面目に考え、行動しているでしょう?
杏里実は、アメリカにとても素敵なお友達がいるんですね。貧しいところからチャンスをつかんで財をなした人で、今はとても恵まれた生活をしているんですね。で、彼女はもう自分が全てを得てしまったので、今、何をしているかというと、癌で苦しむ貧しい子供達を、ロスに招いたり、ボランティアで世界中を回ったり。本当に一生懸命やってるのね。今現在は、ほとんどお金も持たず、Tシャツ数枚だけ持って、インドを旅しているんですよ。自分ための修行ですね。もともと何もないところからスタートして、富を得た人なので、全てを手に入れてしまう怖さも知っていて……たぶん、自分の心のメンテナンスをしているんだと思います。それが、私にはよくわかる。私も、彼女ほどではありませんが、かつて自分のメンテナンスのために、アメリカに行くことを決めたんです。
小野あの時期、それに気付いた杏里さんがいて、だから、いつまでも変わらない気持ちで30年やって来れて、こうやって素敵なままでいられる……。苦しい時期も乗り越えて来たから、いまだに前向きでいられる。
杏里そういうことですね。いつでも、いかに自分を冷静に客観的に見ることができるかが大切なんですね、きっと。それができれば、自分にとって大切なものは何かも、自然に見えてくる。私には、どんなときでも待っていてくださる素晴らしいファンの方達がいてくれる、素晴らしいスタッフと仲間や友達がいてくれる。それは何があっても忘れてはいけないことで、それに改めて気づいた自分が、今ここにいます。
友達の息子さんでとても賢くてユーモアのあるBくんです。大人達ママの友達の中でたった1人だけのジェントルマン、スポーツ万能で体がとても柔らかくストレッチを私達に披露してくれている時のショットです。
この日はHalloweenだったのでBくん親子は仮装してホテルのご近所周りをし会いに来てくれたんですが、コスチュームがとてもユニークでキュートだったので皆でトライをしてみました!!!アメリカのキッズ達のあいだで流行っているキャラクター!被りたくなったのでBくんから借りて1ショット!!
Bくんのママはハチに!!
カワイ過ぎですううう~~っ!!ちなみにHipにも針が付いていてセクシー過ぎるのでここでは皆さんにお見せ出来ないのが残念です。